国税庁によると平成29年分の確定申告で公的年金等以外の雑所得の収入金額が1億円以上の人のうち仮想通貨取引の収入と判断できた人は331人にのぼるそうです。今年も申告の必要な人は多数になると予想されています 。
目次
仮想通貨の税金
ビットコイン等の仮想通貨を売却又は使用することにより生じた利益については、原則として雑所得として所得税の確定申告が必要になります。
事業所得等の各種所得の起因になる場合は、事業所所得になりますが、基本的に雑所得のかたがほとんどだと思います。
雑所得の申告方法と計算の仕組み
雑所得は年末調整ではできませんので、サラリーマンのかたは年末調整が終わり源泉徴収票をもらってご自分で確定申告をする必要があります。
そしてこの雑所得はご自分で計算しないとわかりません。雑所得とよんでいるのは収入とは違い収入から経費を引いたのちの利益のことです。
重要なことは年末調整済のサラリーマン(給与所得)のかたは下記の収入から経費を引いた年間の合計所得(利益)が20万円以下のかたは確定申告不要です。逆に計算後20万円を超えるかたは申告が必要になります。
年末調整しないサラリーマンのかた または ほかの所得があり確定申告をするかたは、申告が必要になります。
最初にご自分あるいは専門家にたのんで雑所得はいくらになるか計算しましょう。
仮想通貨の雑所得の計算の注意点
どんなときに仮想通貨の収入になるか
1、 売却した時
保有している仮想通貨を売却して日本円に換金した場合
これはわかりやすいですが、売却金額(日本円)から購入金額を差引したものが所得になります。
2、 仮想通貨で商品を購入した時
仮想通貨での購入ができるお店が増えています。仮想通貨で買い物をしたときには、商品価格がその時に仮想通貨を売却してそのお金で購入したとみなされます。
買い物をしてしまい手元にお金がのこらなくても、所得が発生します。
3、 仮想通貨と仮想通貨の交換をしたとき
仮想通貨は 有名なbitcoin 以外 たくさんの種類があります。ほかのコインにかえた際には、このように考えてください。
Bitcoin を売却して ほかのコイン を購入するときには、両方とも仮想通貨なので利益がでないような気がしますが、税法ではこのように考えます。
購入した仮想通貨の時価から 使用した仮想通貨の原価を引きます。
わかりにくいことなのですが、よくご説明する方法では、B仮想通貨を20万円で購入します。そののち別のC仮想通貨時価 60万円をこの仮想通貨で購入します。
手元には日本円は残りませんが、このC仮想通貨をもしも日本円で購入すると60万円必要ですが、B仮想通貨で支払ったため最初に支払った20万円で60万円のものが購入できたのは、利益がでたということです。
この差額の40万円が利益とみなされます。
もちろん常に利益が出る場合ということはありませんので、損をしている場合には1年間すべての利益と損失を合計して最終的な利益を出します。
4、 仮想通貨業者から仮想通貨に代えて金銭補償を受けたとき
仮想通貨を預けていた交換業者が被害にない、預かった仮想通貨を変換できなかった事件がありました。
この補償が金銭で行われたときには、その補償金と同額で売却したこととなります。そこでもしもその仮想通貨が購入金額より補償金支払いの計算時に上がって補償されたときには、雑所得の計算に含まれます。
5、 マイニングしたとき
仮想通貨は暗号化が行われるのですが、取引台帳データがその都度作られます。この計算はコンピュータで行われますので、金の採掘と似ているため「採掘(マイニング)」と呼びます。
マイニングの収入があるかたは、その経費を引いたのこりが所得となります。
仮想通貨の収入にならないとき
1、 保有しているだけのとき
仮想通貨の購入をすると毎日値段が、上り下がりをしますが、どれほど上がっても、保有しているだけでは課税されません。ご安心ください。
2、 ICOに申し込みしているとき
ICOとは(Initial Coin Offering 新規仮想通貨公開)です。まったく同じではありませんが、株式上場と仕組みは似ています。
株式を上場するのがIPO(Initial Public Offering)でよく企業が資金調達手段に使いますが、もしその株式を購入できれば株主は上場後株価が上がり利益がでます。
ICOは株式上場のように仕組みが整っていないため、投資家保護というルールが未整備です。リスクが高いものです。
ICOで上場ができると通貨価格が上がるため、利益がでますが、上場しない場合もあります。申し込みして待っている期間が長いものが多いようです。ICOに申し込みしている期間は保有しているだけなので、利益はでません。
計算方法
1、 年次報告書をダウンロード
2、 取引レポートダウンロード
3、 仮想通貨取引会社が数社あるときには各社のものを合算する
4、 支払手数料以外の経費を集計する
5、 上記の注意事項を確認する
6、 確定申告書作成
計算後損失が出た場合
雑所得の損失の特徴は、ほかの所得と損益通算できない、損失の繰越ができないということです。
例示
給与所得 600万円
雑所得 ▲100万円
雑所得のマイナスは給料とは通算できませんので、ご注意ください。ただし同じ雑所得内では合計しますので、その年に雑所得があるかたは税金が安くなる場合もあります。
ICOの詐欺にあった場合
ICOで本物のものもありますが、中には詐欺のようなものもあると聞きました。詐欺の場合には、残念ながら税法での救済はありません。詐欺は自分で判断する余地があったうえでの被害なので、災害、盗難とは違い雑損控除はできません。
参考:国税庁HP「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
交換業者に顧客の取引報告書の交付を要請
政府税調で10月17日に仮想通貨に対して議論がありました。その中で国税庁が仮想通貨交換業者に対して顧客(納税者)が年間取引報告書(仮称)を利用して簡便に仮想通貨の所得を計算できるように要請しているということです。
下記の図はその際の資料の情報提供(イメージ)です。
このように簡単に申告ができるようになるといいですね。
現時点は国税庁では 仮想通貨に関する所得の計算方法についてというFAQ がでていますので、その情報をもとにしています。今後変わる可能性もあります。ご了承ください。