前回の続きです。
消費税の計算方法についてです。前回までに消費税を納税する人については、お分かりになっていると思いますので、今回はその消費税をどのように計算するかについてです。

原則の消費税の計算

課税売上の消費税 - 課税仕入れの消費税

これは実際に計算した金額で試算表や決算書をみるとわかります。もらった消費税(売上のなかに含まれる)から支払った消費税(仕入れ、経費に含まれる)を差引することです。

課税売上に含まれないものは

非課税取引に該当する取引の売上は課税売上に含まれません。例えば 土地の譲渡をしている
事業者が土地のみ売上があるときには、土地には消費税を課税できないため、その売上の消費税はもらっていないことになります。

以前の記事で非課税取引をみてみてください。

課税仕入れにならないものは

経費のなかには不課税(非課税ではない)経費があります。その経費にたいする消費税はないため消費税をひくことはできないのです。代表的な経費は 人件費です。

例:課税売上の消費税 10万円 - 人件費しかない場合 0円 =10万円が消費税の納税になります。

勘定科目 内容
租税公課 税金等は不課税
保険料 非課税
給料賃金 不課税
利子割引料 非課税

※給料で支払った場合は、相手が事業者でないため消費税の納税義務がないので、給料はいくら支払ってもそのなかに消費税ははいっていないことになります。

しかし相手が事業者(外注先)の場合は、その外注先は事業者になるため支払った経費のなかに消費税が含まれるので、消費税を差引できます。

簡易な計算方法(簡易課税)

原則の方法をすると経費のうちどれが課税仕入れになるか、ならないかを区別して計算しなくてはいけません。

その手間をかけない方法が簡易課税といいます。この方法は簡易課税選択届出書を提出しないと使えません。提出しないと原則の方法になります。

それは業種によってみなし仕入れ率が決まっているからです。業種と課税売上がわかれば、だれにでも 消費税が計算できます。

みなし仕入れ率

第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(製造業等)農林・漁業、建築業、製造業など 70%
第4種事業(その他)飲食店業など 60%
第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業 50%
第6種事業(不動産業) 40%

注1:2種類以上の事業を営んでいる場合は、原則として、課税売上高を事業の種類ごとに区分し、それぞれの事業区分ごとの課税売上高に係る消費税額にみなし仕入率を掛けて計算します。

注2:令和元年10月1日から「農業・林業・漁業」のうち「飲食料品の譲渡」に係る事業区分は第3種事業から第2種事業へ変更となります。

この制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、事前に届出書を提出している場合に選択することができます。

地方消費税の計算

消費税の率のうち国税の消費税と地方消費税が含まれています。消費税が支払うとき、事業者が受け取る際には合計で計算しますが、申告、納税の際には、別々に計算します。申告書がわかりにくいのはそのためです。

いったん国税の消費税を計算してから地方消費税率をかけて地方消費税を計算します。
一枚の申告書で両方を計算します。

次回に続きます。

 

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