はじめに

社団の税務の仕組みが前回まででした。これからは、実際に会計ソフトでどのように社団の決算、申告をするかについてご説明します。

現状の確認

一般社団が、非営利型かどうかを確認します。非営利型の要件に合致しなければ、一般の会社と同じなので、通常の会計の計算方法と同じです。
非営利型の要件に合致するかどうかは、前回の記事をご覧ください。
一般社団を設立しただけで、すべて非課税になると思われている方がいますが、法人税法の要件に合致するかどうかの判断が必要です。

問題は非営利型の場合で、収益事業があるときです。経費の按分が必要になります。

弥生会計をつかった経費の按分方法

弥生会計には業種ごとのテンプレートがありますが、その中に一般社団のテンプレートはありませんが、部門別を設定することで、最後に経費の按分がしやすくなります。

会計データを作成したら 設定→部門設定 を行います。
部門は①収益等会計②その他会計③内部取引消去

部門ができたら早速入力をしてみましょう。入力項目に部門が現れます。内容にしたがい入力します。

ある程度入力したら試算表を見てみましょう。
集計→残高試算表→部門対比でみることができます。

部門別に集計できるためエクセルボタンをクリックすると、簡単にエクセルシートができます。高価な会計ソフトを購入しなくてもそのエクセルの加工で、決算書ができます。

当事務所では、正味財産増減計算書をあらかじめエクセルで作成しておき、そこにデータをコピーしています。

公益法人会計基準

正味財産増減計算書(損益計算書のことです)と貸借対照表 を作成します。

区分経理の種類についてまとめ

一般社団法人で非営利型法人以外

計算書類 会計上 法人税法上
貸借対照表 区分経理は必須ではない 全所得課税のため区分不要
正味財産増減計算書

一般社団法人で非営利型(収益事業がない)

計算書類 会計上 法人税法上
貸借対照表 区分経理は必須ではない 法人税の申告義務がないため区分経理不要
正味財産増減計算書

一般社団法人で非営利型法人(収益事業あり)

計算書類 会計上 法人税法上
貸借対照表 区分経理は必須ではない 法人税法上の収益事業とそれ以外に区分が必要
正味財産増減計算書

上記はすべて移行法人 以外になります。

結論

区分が必要になるのは、非営利型法人で収益事業がある場合です。経費の按分も必要になります。


i 一般社団法人、一般財団法人のうち、特例民法法人から移行した法人であって、
公益目的支出計画の完了の確認を受けていない法人(すなわち、公益目的支出計画を実施中の法人)のことを、整備法上 移行法人と呼びます。


TAC出版. (2016年). 公益法人の決算書・税務申告書作成. TAC出版.岡部 正義. (2017年). 公益法人・一般法人の会計と税務. 清文社.

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