一般社団法人・財団法人

一般社団法人

社員という人が集まって設立する法人です。 一般社団法人の社員は法人の使用人とは異なります。 個人が運営の最高意思決定権を持っています。株式会社で言うと株主と似たような立場になります。ただ一般社団法人は出資をするということがありませんので、議決権が基本的に一人一議決となっています。

出資がないためどんなに法人が儲かっても配当はできません。一般社団法人は最初の出資がありませんので出資ゼロから法人を設立することができます。

日常的な運営は会員が会員から会費を集めて運営資金で運営していきます。その他にも寄付を募り事業を実施することで補助金を得て運営していきます。

もちろん借入して運営も可能です。設立が容易になったため現在は48000社程度あります。

公益法人に属しますが、行政の監督はありません。そのため税務上の優遇はありませんが、一定条件に該当した社団法人は税務上の優遇があります。

一般財団法人

一般社団法人と異なり人ではなく財産を寄贈することによって設立される法人です。一般財団法人も一般社団法人と同じく儲かっても配当はできません。

一般財団法人の議決権は評議員と呼ばれる方が一人一議決を持ちます。寄贈された財産の運用や法人の運営をする役割は理事会ですが、理事が3人以上必要です。理事会では法人の運営の色々なことを決めます。

一般財団法人は2事業年度連続で資産から負債を差し引いた正味財産が300万円未満になると自動的に解散になります。

一般社団法人、財団法人、 NPO 法人かの選択

一般社団法人と同様によく名前が出るのが NPO 法人です。その違いについてですが大きな違いは一般社団、法人財団法人は登記により設立できますが NPO 法人は登記をした後に所管庁の認証が必要になります。

諸官庁に認証が必要になると同時に行政の監督責任が発生します。

事業についても主として特定非営利活動に係る事業に制限されていますので課税については収益事業課税(*1)に該当します。

(*1)収益事業
(現在34事業を限定列挙され法令に基づく一定の事業を除く)から生じた所得に対して法人税が課税される。簡単に言うと収益事業に該当する以外の事業は課税されないということです。

社団と財団の違い

  一般社団法人 一般財団法人
社団は人の集まり1人でも運営できる 財団は財産の集まり7人以上必要
資金 出資は不要 300万円必要
設立時 社員2名以上 ※設立後は1名でもよい 最低7名必要

 

このようにみると一般社団法人は設立しやすいといえるでしょう。

一般社団法人の設立費用

一般社団法人設立にかかる費用
  紙の定款の場合 電子認証定款の場合
公証人手数料 50,000円 50,000円
定款印紙代 0円 0円
登録免許税 60,000円 60,000円
合計 110,000円 110,000円

 

なぜ紙の定款と電子定款の定款印紙代が0なのかは、印紙税が課税される定款は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社)の設立のときに作成する定款の原本に限られています(印紙税法別表第一 課税物件表第6号文書、印紙税法基本通達別表第一 第6号文書の1)。
国税庁ホームページ

したがって、一般社団法人・一般財団法人が作成する定款については、印紙税の課税対象となりません。 紙でつくっても印紙を貼る必要がありません。

一般社団法人は出資金が不要なので、社員2名があつまり、設立費用が11万程度あれば設立できるので、設立しやすいといえます。

ただ出資金がないとしても、社団を運営するため、運営資金は必要になってきます。通常は会費等でまかなっていくのですが、それでも不足する場合には寄付が行われます。

定款の作り方で税金が変わる

一般社団法人はとても設立しやすいということは、おわかりなったと思います。

ただ通常ですと一般法人と同じ税法になりますので、税務上の優遇措置ありません。

一般社団法人の中で非営利性が徹底された法人と共益的活動を目的とする法人の2つについて収益的事業以外は課税されません。もしもこの2つに該当する事業のみをしている場合には、申告も不要です。

この二つ以外は全所得課税といって普通法人と同じ税金の計算になります。

非営利型が徹底された法人の要件(法法2九の二イ、法令3①)

1 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること
2 解散したときには、残余財産を国・地方公共団体や一定の団体に寄付する
3 1,2に違反する行為を決定、行ったことがないこと
4 各理事と理事の親族である合計数が理事の総数の3分の1以下であること

共益的活動を目的とする法人の要件(法法2九の二ロ、法令3②)

1 会員に共通する利益を図ることが目的
2 定款に会費の定めがあること
3 主たる事業が収益事業でないこと
4 定款に特定の個人または団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと
5 解散した際残余財産を特定の個人または団体に帰属させることを定款に定めていないこと
6 1から5の7要件に該当していた期間で特定の個人または団体に特別の利益を与えることを決定し、または与えたことがないこと
7 各理事と理事の親族である合計数が理事の総数の3分の1以下であること

定款作成上の注意点

1、 理事のなかに親族が含まれている場合その割合に注意します

2、 非営利型が徹底する社団は解散したときには残余財産を国・地方公共団体や一定の団体に寄付するという文言をいれる

3、 特定の個人または団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと通常はいれないと思いますが

ポイントは社団の私物化を防ぐということです。もしも私物化されているのに名目だけ共益的目的というのは税務上の優遇はしないということです。

定款作成の注意は当然必要ですが、非営利型になるには運営する内容も重要になってきます。

こちらは次回ご説明します

 

参考図書 公益法人の決算書・税務申告書作成 TAC出版

公益法人・一般法人の会計・税務 新日本有限責任監査法人

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