源泉徴収については、いままで会社員のかたはなじみがないとおもいますが、給料計算事務を行う上で必要なので押さえておきましょう。
目次
源泉徴収制度
所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する「申告納税制度」が建前とされていますが、特定の所得については、その所得の支払いの際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
その特定の所得には、利子、配当、給与、退職手当、公的年金などがあります。
東京国税局の資料によれば、平成30年分の105億円の源泉徴収税額合計の中で、1番多いのは約50億の給与所得の源泉徴収で、次に続くのは約30億の配当所得からの源泉徴収です。
それだけ給料に関わる源泉税が多いようです。
給与所得の源泉徴収事務
居住者に支払う給与所得の源泉徴収事務は、二つあります。
①毎月の給与や賞与を支払う際の源泉徴収事務
②年末に行う年末調整事務
毎月の源泉徴収事務
・給与所得の範囲
給与所得には、通常の俸給や給料、賃金、賞与のほか、通勤手当、諸手当やいわゆる現物給与も含まれます。
・弥生給与の入力画面
弥生給与の画面で確認するのは、従業員の扶養の欄です。
従業員の方の給与所得者の扶養控除異動申告書に記載されている通りに扶養親族等の詳細設定を行うに☑がされているか確認します。
以下の例の方の場合は、税額計算上の合計が2人となっています。
次に、被扶養者のタグを開くと、被扶養者の名前と生年月日が確認できます。
特定扶養親族とは、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人(平成10年1月2日から平成14年1月1日までの間に生まれた方)をいいます。
よく聞かれる扶養親族については年齢16歳未満の子供について所得税では控除対象扶養親族にならないことです。
弥生給与では生年月日を間違えなく入力すると16歳未満の子供は控除対象の人数にははいりません。年齢を入力する際には間違えないようにしましょう。
年末調整事務等
2020年年末調整の時の改正内容
「平成30年度税制改正」により、2020年の年末調整から給与所得控除をはじめとする制度が見直されます。
①給与所得控除の引き下げ
給与所得控除額が、平成2年分より一律10万円引き下げられます。
②基礎控除の引き上げ
今まで一律38万円の基礎控除額が、48万円に引き上げられます。
③扶養親族の合計所得要件
これまでは、「合計所得金額が38万円以下(年収103万円以下)であること」とされていましたが、令和2年分以降、合計所得は「48万円以下」に変更されます。
ケースでみる扶養
①パート主婦の場合
パート主婦の年収が103万円以下の場合、前述の①②の改正はありますが、今までどおり扶養親族に該当します。
いままでの計算方法だと、
年収103万円―基礎控除65万円=合計所得金額38万円
合計所得金額が38万円となり扶養親族でした。
これからの計算方法では、給与所得控除の10万円引き下げで、
年収103万円―基礎控除55万円=合計所得金額48万円
合計所得金額は48万円となり、いままでの計算方法では扶養親族から外れてしまいます。
しかし、基礎控除の10万円引き上げにより、合計所得金額は48万円となり、扶養親族に該当します。
②夫が事業をしていて、妻が会社員の場合
コロナ感染症の影響で事業に多大な影響があった場合、会社員の妻の扶養になれます。
事業をしている人の所得金額は、年収―経費=所得 です。
年収が大きく落ち込んで、所得が48万円以下になった場合、たとえ夫であっても会社員の妻の扶養になれます。
③年収850万円以下の給与所得者
年収850万円以下では、所得控除が10万円引き下げとなり、基礎控除が10万円増えるので、実質的に所得税は変わりません。
年収850万円超では、所得税は増税となります。
まとめ
給料の源泉徴収事務は給料を支払った者の義務になります。いままで会社員だったかたはいつのまにか給料から差し引きされているので、気が付かなかったかもしれません。
給料を支払う側になりましたら。忘れずに差し引きして預かった金額は税務署へ納税しましょう。