改正前の相続では、遺産のほとんどが不動産という場合、妻がその不動産に居住し続けるために、その不動産を相続すると、その不動産の価値の分だけ預貯金をもらえなくなるという場合がありました。

このように、預貯金がもらう金額がすくないと相続後の生活が困ります。

配偶者の生活をまもるために改正された相続法では、「配偶者居住権」という権利が創設されました。法改正後は、夫の死後も妻が、その不動産に住み続け、より多く預貯金も相続できるようになります。

配偶者居住権とは

今回創設された「配偶者居住権」とは、相続後の建物についての権利の一つです。

建物についての権利を、「負担付き所有権」と「配偶者居住権」に分けて考え、遺産分割の際に、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得できるようにしたものです。

下図のように、夫が亡くなり、相続人が妻と子供一人の場合、改正前の相続では、妻は自宅を相続すると、預貯金は子供よりも少額になってしまい、生活費に不安が出てきてしまいます。

しかし、改正後は、「配偶者居住権」で自宅に住み続けることができ、預貯金も子供と同額もらえるようになり、住む場所にも生活費にも安心できるようになります。

政府広報オンライン「約40年ぶりに変わる“相続法”!相続の何が、どう変わる?」令和元年(2019年)6月12日

配偶者居住権の評価

この配偶者居住権は、完全な所有権ではないので、他人に売ったり、貸したりすることができないため、評価額が低く抑えることができます。

配偶者居住権は被相続人が死亡した際に登記が必要になります。

配偶者の自宅は相続税の計算上、相続財産として課税価格に含まれます。

しかし通常の相続の場合よりも評価は低くなります。

評価方法は建物にどのくらい住めるかを残存耐用年数、平均余命を使って計算します。

詳しくは次回ご説明します。