中小企業が従業員の給与を上げると、法人税が軽減される制度です。
中小企業が利用できる法人税賃上げ促進税制における中小企業向けと大企業向けの違い
今日は、中小企業が利用できる法人税賃上げ促進税制における中小企業向けと大企業向けの違いについて解説します。
まず、給与の比較対象についてです。
•中小企業の場合、前年度の全ての従業員に対する給与等支給額の合計額と比較されます。
•一方、大企業の場合、退職者を除いた従業員に対する給与等支給額の合計額と比較されます。
つまり、中小企業は退職者を含めた全体の給与上昇率、大企業は継続雇用者のみの給与上昇率が評価されるということです。
次に、中小企業が大企業向けを利用できる条件についてです。
•資本金が1億円以下
•従業員数が300人以下
•過去3年間の平均賃金上昇率が3%以上
•中小企業等における人材投資促進税制の適用を受けていないこと
これらの条件を満たす中小企業は、大企業向けと同じ20%の控除率を受けることができます。
中小企業向けと大企業向けを比較しました。
項目 | 中小企業向け | 大企業向け |
対象 | 資本金1億円以下の法人 | 資本金1億円を超える法人 |
控除率 | 30%~40% | 20% |
要件 | 前年度比給与等の増加額が一定以上 | 過去3年間の平均賃金上昇率が3%以上 |
中小企業向けは、控除率がより高く、要件も比較的緩やかです。一方、大企業向けは、過去3年間の平均賃金上昇率という要件があります。
大企業でないと大企業向けが利用できないわけではありません。
•具体的には本年退職者がおり前年の給与の総額と比較すると給与支給額が増えない会社は大企業向けを利用してください。大企業向けは退職者を除いた従業員に対する給与等支給額の合計額と比較されます。
ポイントは
・退職者がいて給与総額で比較すると総額が増えない会社は大企業向け
・総額で比較して増えている会社は中小企業向け又は大企業向けを検討してください。
どちらの制度が自社に適しているかをよく確認しましょう。